「お客様ですから」

「客だからと言って、様付けで呼ばれても…」

「じゃあ、輝光様は?」

そう言った玲奈に、
「…やっぱり、谷木様で」

谷木は呟くように答えた。

玲奈は空を仰いだ。

空はよく晴れていた。

「そう言えば、あんたの名前を聞いてなかったよな?」

谷木が言ったので、
「名乗るほどでもないと思いますが」

玲奈は横を向いた。

「じゃあ、当てて見せる。

トメ子?」

「玲奈です、寺師玲奈!」

思わず名乗ってしまったので、玲奈は手で口をおおった。