店内の最終確認をするように、玲奈は辺りを見渡した。

外国製の家具が並べられた店内は、亡くなった父親が望んでいた品々ばかりだ。

海外からわざわざ取り寄せたアンティークのカップやグラスも、ほとんどが父親の好みである。

そして、『柚葉』と言う店名も生前に父親が好んでつけたがっていた店名だ。

髪の毛先を指先で弄びながら店内を見渡していると、笙が戻ってきた。

「直ったよ」

そう言って笙から渡されたメニューを玲奈は確認する。

先ほど指摘した誤字は彼の手によってちゃんと訂正されていた。

「大丈夫」

玲奈がそう言うと、ホッとしたように笙が笑った。