優しい彼は残酷な人。





「...俺も沙羅が大好きだよ。
...だけど、これからは愛していきたい人がいるんだ。」


私が欲しかった言葉は

『大好き』なんてものじゃなかった。

ずっと欲しくて、ずっと聞きたかった愛の言葉は、

私じゃない、他の人への愛の表明となった。


嘘でも、何でもいいから、
私に向けた朔の『愛してる』が聞きたかった。



__その時、私の何かが音をたてて壊れていく。


アイシテクレナイナラ...



「...愛してくれないなら、いっそ...私を殺してよ...朔」


私はそう泣き喚いて、朔に懇願した。


そんな私を朔は、宥めるように私の名前を口にする。


「...お願い、殺してよ…」


「.........沙羅」


「...私..きっといつか、朔を...愛する人を...殺しちゃう.,
...お願い、朔、私を殺して」


その瞬間、朔が私に覆い被さった。


そして、私の首に温かくて
大きな私の大好きな朔の手がかけられた。


ゆっくりと力が込められていく。


私は瞳を閉じて、意識が遠退いていくのがわかる。