君と花を愛でながら

「……だったら、いいけど」



急になれない雰囲気に飲みこまれて、後ずさりもできなかった。
厨房の明りが片山さんの真後ろにあり、表情に陰りを作る。


何もされているわけじゃないのにひどく威圧を感じるのは、目の前の人が急に「男の人」に見えたから。



「静さんに感情移入しすぎて、失恋の傷も癒えてないだろうにって思ったら……」



心配でさ。と小さく付け足した片山さんを見上げて、私は言葉を探すこともできず身動き一つできなかった。
片山さんの手が近づいてきて、ああ、大きな手だなって頭の中で考えながら視線で追った。


さ……触られる? と、気付いた時には心臓がどくどくと早鐘を打って私は思わずぎゅっと目をつむる。


その瞬間、少し痛いくらいのデコピンを受け、くらりと揺れて私の体は一歩下がった。