君と花を愛でながら

厨房に入って、私はよほど仏頂面で冷蔵庫の前にしゃがんでいたのだろうか。
片山さんが泡だて器で何かを混ぜ合わせている音が止んだ。



「そこまで嫌悪感をむき出しにするの、珍しいね」

「……出てます?」



トマトときゅうりを野菜室に入れ終えて振り向くと、片山さんが作業台に腰を預けて私を見下ろし苦笑いで肩を揺らしていた。



「出てる出てる。すっげー怖い」

「……だって嫌いなんですもん。静さんが可哀そう」

「彼女の方もわかってんでしょ? なんで別れないんだろうな……確かにいい男だけど」

「幼馴染で、昔からずっと好きだったんだって」



先日、静さんが一人で来店された時に余りにも暇で、二人で随分話し込んでしまった時がある。静さんは、私に謝ってくれたのだ。



『いつも聡が絡んでごめんなさいね』



と笑った顔はとても寂しそうで私の方が泣きたくなった。
この人は全部わかってて付き合っているのだとその時に知り、二人のなれ初めを話してくれた。