君と花を愛でながら

カウンターに座る二人を見て、薄く微笑むと



「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」



と挨拶を交わしながらカウンターまで辿り着き、私は野菜の入ったビニールを受け取ろうと手を差し出す。



「買い出しお疲れ様です」

「いいえ。ホールお任せしてすみません」



ビニール袋が手渡される瞬間、不意に顔が近づいて一瞬どくんと心臓が鳴った。



「何もありませんでしたか?」



小声でそう尋ねられても、妙に狼狽えてしまった私はただ瞬きをして「えっと、何も?」と大した返事もできなかった。何か、っていうのが何をさしているのかもよく理解できなくて。


それでも一瀬さんは納得したのか、一度頷くと「何もないならいいです。すみませんが、それを厨房の冷蔵庫に」と私に背を向け、カウンターを挟んで静さんたちと談笑をはじめた。