君と花を愛でながら

「客の大半は女だろうしね、女の子の意見を聞くのが一番」
「えっ、でも私、批評みたいなことはできませんけど」


片山さんにそんな風に言われると、なんだか責任重大な気がしてフォークで触れるのも怖くなってしまう。
その時、目の前にカップが置かれて、ふわりと紅茶の香りが漂った。


「構いませんよ気兼ねせずに、雑談混じりに食べてもらって。ついでに休憩にしましょう」


そう言いながら片山さんにもカップを手渡しすると、自分も一つ手に取り香りを楽しむように目を閉じる。


「じゃあ……って、いいんですか、私一人で」
「いいから食べてって。女の子は甘いの好きでしょ」


片山さんの言葉に一瀬さんも頷いてくれて、私は漸くフォンダンショコラにフォークを刺し入れた。
ひとくち、口に含んだ途端カカオの香りと甘さが口いっぱいに広がって、それなのに全然甘すぎない。


「おおおいしいですっ……」


テレビで見る美食レポーターみたいに、上手に言葉にするなんてできない。だけど、手が止まらなくて次々と口に運んでしまう。


「私、フォンダンショコラって食べたことないんです。こんなに美味しいなんて」
「だったら他と比べられねーじゃんか」
「あっ、そうですすみません!」


じゃあせめて一瀬さんにも食べてもらった方が良かったのかと思ったけど、お皿からは既にフォンダンショコラは消えていて、項垂れる私に片山さんが肩を揺らして笑った。