君と花を愛でながら

そう言われてみれば、と小さい頃の記憶を辿る。
お姉ちゃんは、ご飯のお手伝いとかはよくしてたけど、生け花を近くで見てるのはいつも私だけだった気がする。


「なんでもいいわよ、あんたが一生懸命になれるものなら。大学にこだわる必要ないんだからね」
「……うん。ありがと」


くるくると、ボールペンのカラーインクで円を描いて気恥ずかしさを紛らわせながら、頷いた。


大学に落ちたのは確かにショックだったけど、こだわってたわけじゃない。
寧ろこだわりがなかったから、お姉ちゃんや悠くんと同じあの大学だったんだ。


勿論、誰だって明確なビジョンを持って大学に行くわけじゃないと思う。
でも、私は落ちたことで少なくとも一年、考える時間を神様がくれたんだと思うことにした。


だって、こんなに心配してくれる家族に恵まれてるのにただなんとなく大学に行くなんて、申し訳ない。
決して安くはないんだから。


くるくるくる。
インクを変えて無意識に書き続けたいくつもの円は、まるで子供が落書き帳に残したブーケのよう。
不格好で、わくわくするくらい色取り取りだった。