君と花を愛でながら

「伸也くんには、ブーケとセットで目を引くようなプレートを考えて欲しいのですが」
「それはいいけど、新しいこと始めても客が来なけりゃ意味ないよ」
「勿論宣伝はするつもりです」
「宣伝するにもインパクトが必要だろ。ちょうどいいイベントがすぐ目の前にある」


そう言って片山さんは壁に視線を移し、釣られるように私もそちらへ目をやった。
壁に貼られたカレンダーは、今はまだ一月。


残ってる一月のイベントで思いつくのは成人式くらいだけど……私はすぐにピンと来て思わず「あっ」と声を上げた。


「バレンタインデー?」
「そう。まずはイベント限定プレートから始めたら目を引きやすいんじゃないかと思って。フォンダンショコラとラズベリーソースとかありきたりだけど可愛いから女の子は喜ぶよな」
「この通りって大学生がよく通るし、いいと思います。姉に頼んだら宣伝とか協力してくれるかも!」


片山さんの案に私は手を叩いて賛同する。けれど、一瀬さんは少し首を傾げて少し思案していた。


「ですが、チョコレートは女性から男性にプレゼントするものです。客層が限定されそうではないですか?」
「カップル限定になるってことか? 問題ないだろ、男がいる女はデートに使うこともできるし女同士でも来る」
「友チョコとか、自分チョコとかみんないろいろですよ。バレンタインに乗っかって可愛いスィーツを食べたい女の子ってたくさんいます」


私もつい、力が入って口を出してしまう。
だって、バレンタイン限定のスイーツプレートなんて考えただけでわくわくするし、それに合わせてブーケを作るなんて。


緊張するけど、挑戦してみたくて身体も心も、うずうずした。