君と花を愛でながら

程なくして片山さんが出勤して、ケーキの番重から冷蔵のガラスケースにケーキを移す。
その間に私と一瀬さんは開店準備を整えて、オープンまでに少しの時間を作った。


「折角の花屋カフェですから。それを活かした何かを作れないかと思いまして、ずっと考えていたんです」


一瀬さんと片山さん、私とカウンターを中心にそれぞれ思う場所にいる。
私と片山さんはカウンター内の丸椅子に腰かけて、一瀬さんは作業台に腰を凭せ掛けていた。


一瀬さんが私にお願いしたいことというのは、スィーツのプレートとセットにして出せるくらいの、極々小さなブーケの製作だった。


「スィーツのプレートとセットですから、ミニブーケには殆ど予算はとれないんですが……」
「えっ、じゃあ今朝みたいに処分する切り花からってことですか?」
「いえ、売り物なんですからそれはしません。ですが、とても小さなものでお願いしてブーケの方からは採算は期待しません」
「ってか、ただボケーッとしてるだけかと思ってたけど。ちゃんと考えてたんだ」


それまで黙って聞いていた片山さんの突っ込みに、私と一瀬さんの視線が集中する。
一瀬さんは特に表情を変えることもなく。


「当然です。これでもマスターですから」


と言い、私は可笑しくて口元を抑えて笑った。
片山さんは何かと一瀬さんに突っかかる物言いをするけれど、どうやらそれが二人のスタンスらしくて、少しずつ私もその雰囲気に慣れてきた。