君と花を愛でながら



会計を済ませると、シオンの花束を彼女は一度その手にとった。
「紙袋に入れますか?」と尋ねながら、袋を種類と大きさ別に揃えて立てかけてあるレジ下の棚に手を伸ばす。


けれど、雪さんは「いらないわ」と言って、その花束を徐に私に差し出した。



「これ、陵に渡しといて」

「えっ?」



咄嗟のことで考える間もなく花束を受け取ってしまい、花束と雪さんとを交互に見つめた。


一瀬さんに、ということは。



「厭味、って」



先ほど言ってた厭味とは、一瀬さんに向けられたものだったのかと気付く。
ふふっと悪戯に微笑む彼女は、とても艶やかだ。



「シオンの花言葉、知ってる?」

「いえ」

「”追憶、君を忘れない”……それと、”遠方にある人を思う”」