結局私の告白は「ありがとう」の言葉一つで流されてしまって、はっきりと拒絶せずにいてくれたことが優しさなのかずるさなのか、私には判断がつかなかった。
だけど、覚えていてくれて嬉しかった。
そしてまたひとつ、せつなさを知った。
『時には立ち止まって道を眺めながら、ゆっくりとお茶を飲む時間を持つのもいいですよ』
その言葉は、私だけに向けられたものではなかったのかもしれない。
思い出が揺れる。
紫苑の花が揺れる。
一瀬さんが宣言したとおり薄紫の小さな花がたくさん入荷したのは、私が散々泣きはらした目で接客した日の、翌朝のことだった。

