その”ありがとう”は決して私の気持ちを受け入れてくれたのではないと、それくらいの空気は私にもちゃんと読める。
ただ、手を握ってくれたその温もりに、恥ずかしくて顔から火が出そうなくらい熱いのに、出てくるのは涙ばかり。
はっきりとした言葉で答えをくれない理由を、都合よく考えてしまいそうになる。
「綾さんは、結構泣き虫ですよね」
ぽんぽん、と握り合わせた手の上で、もう片方の手が宥めるようにリズムを刻む。
「……そんなことないです」
「接客中はいつも笑顔ですけどね」
だって、楽しいですもん。
オーダーを聞いたりブーケの好みを聞いたり、お客様が喜んでくれると私も嬉しくてもっと勉強しようって思えた。
本当に、今の私の全てが、この店を中心に回ってる。
「でも頭に浮かぶイメージがいつも泣き顔なんです。初めて会った時も泣いてたからでしょうか」
ふ、と笑いながら一瀬さんが言葉を零す。
はた、と思考回路が停止した。

