涙が頬を濡らす感触に俯いて、もう一度言った。 「私、ここに居たいです」 「はい、ありがとうございます」 「一瀬さんと一緒に、働きたいです」 「はい」 「……好き、です」 彼のシャツを掴んだままの手の上から、大きな手が重なり、勇気を出して裏返して握り返した。 こんな風に触れ合うのは、初めてだった。 「ありがとう、ございます」 お礼を言われて哀しくなったのも、初めてだった。