君と花を愛でながら

「……手伝います」


一瀬さんが、作業台から花鋏を取って隣に座り込んだ。
そして私と同じように、ぱちんと鋏を鳴らす。


「あっ……すみません。私、もしかして仕事を増やしてしまったかも……」


考えてみれば、家で生け花をしているのとはわけが違う。
店舗なんだから、売れなければ始末しなければいけない花の量は半端じゃない。


「いえ、とても良いと思います。私には考えも及びませんでした」
「すみません……」


花を全部切り終わって、新聞紙でくるくるまるめてゴミ袋に入れる。
こうすることで、嵩張らないしね!と母が言ってたのは、多分照れ隠し。こういう考え方を主張するのは、誰だって少し恥ずかしいものだと思うけど、一瀬さんは馬鹿にせずに手伝ってくれた。


「あ……もしかして」
「どうかしましたか?」


大きなゴミ袋にひとまとめになったものを、一瀬さんが口を縛って持ち上げる。


「もしかして、こういうの。私が来るまでに全部済ませてくれてたんですね」


一瀬さんが店に降りてくるのは、いつも開店十分前くらい。
だけど、私や片山さんが店に来る頃には、もう鍵は開いていたしお花の置いてあるスペースはいつも綺麗に片付いていた。


私の質問に、一瀬さんは少しバツの悪そうな顔をして目を逸らした。
それは、この間の不意打ちの笑顔に続いて二度目の、感情が見える表情で。