片山さんは車を発進はさせないまま。
私を見て、眉根を寄せた苦笑いを浮かべる。
「一瀬さんが好きなんでしょ、知ってるよずっと」
苦笑いなのに、泣きそうな声。
それを聞いた途端、ぐっと胸が苦しくなって私の方が涙が出そうだった。
「はい。ごめんなさい」
涙を堪えると、つい声が震えてしまう。
唇を噛んで耐え、鼻で大きく息を吸い込むと、片山さんの目を見て言った。
「すみません、片山さんとは付き合えません」
膝を揃えて、斜めに運転席の方へ身体ごと向け頭を下げる。
その後頭部に、ぽんっと手のひらが落ちてきた。

