君と花を愛でながら



「え、平気です、私」



と、断ろうとしたけれど、じっと私を見る一瀬さんの視線に気が付いて、声を飲みこんだ。


え……何。
そんなに酷い顔、してるでしょうか。


そう言えばさっき泣いてしまったことを思い出して、俯いて手で目尻に触れる。
確かにまだ湿っていて、もしかしたら見た目にも十分泣き顔なのかもしれない。



「……そうですね。信也くん、送ってあげてください。もう遅いからまっすぐに」

「わーってるよ」



指図されたのが気に障ったのか、不機嫌な返事をした片山さんが近づいてきて私の腕を取る。



「あの、でも。私」

「綾さん、明日にしましょう。気を付けて」



有無を言わさずそう言って、一瀬さんは微笑む。



「ほら、行くよ」



と腕を引く片山さんに引っぱられながら、店を後にした。