君と花を愛でながら



がらんがらん、と乱暴な音と一緒に扉が閉まる。
動く様子もない一瀬さんと扉とを交互に見比べた。



「あ、あの。追いかけなくていいんですか」

「いいです。どうせ彼女は車ですから」



溜息混じりにそう零す。
言葉の通りに、すぐに車のエンジン音がして、敷地を出て行くのが音でわかった。



「……申し訳なかったですね、見苦しいところを」



振り向いた一瀬さんが、いつもよりも少し柔らかい笑顔を見せる。
それが、とてもわざとらしくて子ども扱いをされている気がして、対等に話すら聞かせてももらえなかった自分が悔しくなる。



「雪さんとちゃんと話しなくてもいいんですか」



一瀬さんがこのお店が大切なのは、雪さんが大切だったから。
きっと、そうなんじゃないのかな。