君と花を愛でながら


きゅっと下唇を噛みしめて、苛立ちを堪えるような表情だった。
「雪」と溜息混じりの声がして、一瀬さんが彼女の方へと振り返った。



「どうしてよ、もうこのお店に意味なんてないはずじゃない」

「それは雪が決めることじゃないだろ」



固唾を飲んで見守るしかなく、私は手の中の花切狭を握りしめる。
いつのまにか片山さんもカウンターから出てきて、複雑な表情で私を見ていた。


ああ、そうか、と不意に思い出す。
片山さんがはぐらかして教えてくれなかったのは、私にこんな話を聞かせたくなかったんだろう。



「私が決めることよ、私とあなたが!」 



雪さんの高い声が店内に一際響いて、引き寄せられるように視線が戻る。
今にも泣きだしそうな彼女が、大きく息を吸い込んだ。



「私の為のお店だったはずよ! 私が居ない今も、どうしてそんなに大事にできるのよ!」