君と花を愛でながら




「大丈夫ですよ」



ぽん、と頭に手が置かれた。
頭が揺れた拍子に、目に溜まった涙が零れて少しだけクリアになった視界に、僅かに照れたような穏やかな微笑が映る。



「あの」

「店を閉めるつもりもないし、誰かに任せるつもりもありません」



そう言いながら、頭を撫でた手で今度は袖を掴む私の手を取ると、花切狭を手のひらに乗せた。


花切狭の、ずしりとした鉄の重みが手に伝わる。
その重みが、なぜか一瀬さんの言葉が嘘じゃないことの証明のような気がした。


ほっと肩の力が抜ける私とは反対に、雪さんが震えた声を出した。



「どうして? なんでよ陵、そんなにこの店が大事なの」