君と花を愛でながら



雪さんが声を飲みこんで眉根を寄せた。


譲歩して人に任せてなんて言ったけど、彼女は本当はこの店を無くしてしまいたいんだろう。
なぜだかわからないけれど。


雪さんと二人で話した時のことを、思い出す。
彼女はきっと、私がどこか安定した職を探すように促そうとしたんだろうか。


そんなのは、絶対嫌だ。
第一雪さんにそんな心配されたくない。


悔しくなって唇を噛みながらこちらを睨む雪さんと一瞬だけ目を合わせると、すぐに一瀬さんに視線を戻した。



「私、このお店が好きなんです。自分に自信が持てるようになったのはこのお店のおかげです。一瀬さんがいるこのお店じゃないと」



ここが好き。
それだけではどれだけこの店が大切か伝わらない気がして、一瀬さんがいないとダメだと言った。


視界が歪んで、瞼が熱い。
一瀬さんが、どんな表情をしているのかもよくわからなかった。