君と花を愛でながら



「どうしてよ、そんなに気になるなら店は閉めなくても誰かに任せるとか方法はいくらでもあるじゃない!」 



苛立った声が放つ言葉の意味に、益々身体は動かなくなってしまい耳だけが会話を拾うために研ぎ澄まされる。


どういう意味?
店を閉める? 任せるって……。


雪さんの声に相反して、一瀬さんの声は至極落ち着いていた。



「だから……そんな無責任なことを」

「陵はいつまでもこんなところで燻ってるタイプじゃない、こんな店に一体いつまで留まるつもりなのよ」



『こんな店』


その言葉にかっと頭に血が上る。
思わず勢いよく扉を押し開けていたことに、頭上で激しく鳴るカウベルの音で気が付いた。