君と花を愛でながら


店に戻るとガラス窓はロールカーテンが全て降ろされて、僅かな隙間からしか店内は見えなかった。


扉だけは遮るものがなくガラス越しにカウンターのところに一瀬さんと雪さんの姿が見えた。
だけど少し、遠い。


言い争うような声が聞こえて、カウベルが鳴る少し手前で扉を開く手が止まる。



「……、…して!」



声を荒げているのは、雪さんの方だった。
一瀬さんの声は、聞こえない。



……勢いで来ちゃったけど、どうしよう。



この状況ではまるで盗み聞きのようで、心臓が痛いほどにどきどきしていた。
だけど、なんだか忘れ物を取りに入れる雰囲気でもなく、中途半端に隙間が開いただけの扉の隙間から、雪さんの金切り声が聞こえた。