君と花を愛でながら

結局、店を閉めた後はいつもよりも早く閉店作業も進んでしまい、一瀬さんに促されて帰路につく。


片山さんはまだ厨房の片づけをしていたし、変に居座って片山さんに送られることになるのも避けたかった。


「はあ……」


知らず溜息をつきながら夜空を眺めた。
今日は少し、月が低くて赤い色をしていた。


赤い月に重なるように街灯があり、その周りを蝙蝠がぱたぱたと飛んでいる。


雪さんの言う「誘惑」も気になるし、片山さんが何か隠そうとしている、私に聞かせたくないらしい話も気になる。


帰りたいのに帰りたくない、どんな話がされているのか知りたい、そんな私の後ろ髪をひくようなことを思い出してしまった。


店に引き返す理由、口実を。