君と花を愛でながら



そして夕方。
やっぱり、この人はやってきた。



「いらっしゃいませ」

「こんにちは、綾ちゃん」



いつもはまっすぐカウンターの一瀬さんのところへ向かうのに、今日は私にまず声をかけた。


一昨日も私にいきなり隣に座れとか言うし、この人が何をしたいのかイマイチよくわからない。



「何か、お花をお探しなんですか?」



切り花コーナーで動かない雪さんに尋ねると、小さく唸りながら視線を軽く一周させて呟いた。



「紫苑の花はないの?」

「ああ……今はまだないですね」



一瀬さんからも聞いてないし、念のためくるりと店内を見渡しても紫苑の花は見当たらなかった。



「まだ、少し時期が早いんだと思います」