君と花を愛でながら


「じゃ、私はこの入り口から。片山さんは向こう。よーい……スタート!」

「えっ? うわ、ずるい! 俺が向こう着いてからにしてよ!」



繋いでいた手を離して目の前の迷路の入り口に駆け出した私に、片山さんが慌てた声を出したけど。



「片山さんのが足長いじゃないですか、ハンデです!」



顔だけ振り向いて笑った。
片山さんも急いで向こう側の入り口へと走りだす。


それを確認して、私も向日葵の群れの中に飛び込んだ。


風が吹かない今日は、湿気と熱を含んだ空気が身体や顔に纏わりついて余り過ごしやすいとは言えない。


けど、背の高い向日葵に囲まれれば少し日陰に恵まれて、幾分暑さが和らいだ。
それは私の背が低いからかもしれないけれど。