君と花を愛でながら

「あの、母が生け花の先生をしててその影響で。好きなんです、花を弄ったりするのが。花器に生けたりブーケにしたり……生け花って一応型はあるんですけど案外自由で、生け花の基本を押さえておくとアレンジやブーケにも役に立って……その、えっと……趣味の、範囲ですけど」


自分の得意なことをアピールするのは、なぜだか気恥ずかしいものがある。
だけど、フラワーアレンジに目を留めてくれたことが嬉しくてつい夢中で語ってしまっていた。


ところが聞いてくれているはずの目の前の男の人は変わらずの無表情で、徐々に語尾が弱々しく萎んでいく。
そして返ってきた言葉は。


「そうですか」


その一言だった。


流された、と思って私は小さくなって俯いてしまったけれど、続いた質問にぱっと顔を上げる。


「いつごろから、来られますか?」
「えっ?」

「働くとしたらいつから?」
「あっ、いつからでも、大丈夫です」

「時間帯は?」
「いつでも!」


バイトの面接そのものが初めてだった私は、もしかしたらこの流れでもう決まりなのかな、なんて期待したり。
だけどさっきは趣味のところ流されたし、ダメかも。


そんな風に一瀬さんの言葉に一喜一憂し、兎に角終始緊張していた。
最終的に、後日連絡をするということで面接は終了。


後日連絡は断り文句だ、とか。
バイトの経験のある友達がそんな風に話していたのを思い出して意気消沈していたのにあっさり翌日に採用の電話があり、飛び上がって喜んだ私は一番にお姉ちゃんに報告した。