君と花を愛でながら



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待ち合わせの場所で待っていると、可愛らしいブラウンの車が目の前に停まる。



あ。
ウサギのマーク。


テレビのCMでよく見る女の子に人気の車だ。
羨ましくてじっと見ていたら、降りて来たのは片山さんでちょっと驚いた。



「おはよ」

「おはようございます。車で行くんですか?」

「うん、電車も考えたんだけど、ちょっと不便なんだよね」



乗って、と助手席側のドアを開けて促され、頷いて乗り込んだ。
内装も可愛らしくて、ついきょろきょろとしてしまう。



「いつもの白いバンじゃないんですね」

「あれ親父のだし。ってかケーキ屋のロゴが入った車のが良かった?」

「や、そうじゃなくて。この車がすごく可愛いから意外で」



文句を言いたかったわけじゃない。
慌てて片手を振ってそう言うと、片山さんはクスクスと笑いながら教えてくれた。



「レンタカーだよ。綾ちゃん好きそうなの借りてきた」

「えっ、私に合わせてくれたんですか」

「ピンクが良かった? さすがにそれは恥ずかしくてブラウンにしたんだよね」

「いえ。ブラウン可愛いです。チョコレートみたいで」



ハンドルに上半身を凭せ掛けて、片山さんが嬉しそうな笑顔を見せた。



「可愛いね」



目が、私の私服に向けられる。
店でも私服だけど、仕事用の白のシャツに黒のボトムだから、こういう格好を見せるのは初めてだ。


っていっても……散々悩んだ挙句。
ブルーデニムに紺のボーダーが胸下に入った白のサマーニットにスニーカーという、動きやすさ重視で。


多分、デートっぽくはないのだけど。



「ありがと、ございます」



可愛いの一言がすごく、嬉しかった。