君と花を愛でながら



「いつも閉店まで頑張ってるわよね。休みも週一だけでしょう?」

「はい。でもお店で働くの楽しいので、頑張ってるっていうより居させてもらえる方が嬉しいんです」

「でも、遅い時間になる時もあるじゃない」

「ラストのお客様があまりに遅い時は、後片付けはお二人が引き受けて私だけ帰らせてもらってるので」

「三人の中でブーケが作れるのは、綾ちゃんだけよね? たまに休みが欲しい時もそんなわけにいかないわよね」

「はあ……でも、今のトコは」



風邪もひかず引きこもってた時よりも健康なくらいで、今までそれで困ったことはなかった。
でも、確かに……これからそういうことが合った時に困ることはきっとあるだろう。


それにしても、なんで雪さんが私にこんなことを尋ねるんだろう。


不思議に思っている間も、雪さんの質問は続く。



「どこかの企業の面接を受けたりしないの?」

「えっ? な、なんでですか」

「アルバイトじゃこの先不安でしょ? ちゃんと就職を探したりはしないの?」

「えと……今のトコ、は、考えたこともありませんでした……」



確かに、本当なら正社員になれるような仕事を探すべきなのかもしれない。
それを全くしてこなかった自分がまるで努力を怠っているような気にさせられて、つい声が小さくなる。


雪さんからは、「ふぅん」と、感情の読めない声が返ってきただけだ。
これは……もしや。従業員のチェック、とか、そういうことなのだろうか。



「あ、あの」

「なあに?」

「もしかして、お店に戻られるんですか?」



だとしたら、きっと一瀬さんと共同かその補佐的な立場になるのだろう。
だからこんな質問をしてくるのかと、そう思ったのだけれど。