君と花を愛でながら

「お疲れさま。座って?」

「えっ? あ、いえ。私はこれから後片付けが」

「そんなの陵と片山くんだけで十分でしょ? 貴女がブーケを作ってくれるようになってからここの経営が持ち直したって聞いて、一度お話してみたかったの」

「ええっ?」



驚いて一瀬さんを見ると、至極真面目な表情で私に向かって頷いた。



「どうぞ。申し訳ないですが、話し相手をしてやってください」



いえ、そうじゃなくて。
ブーケのおかげで経営が持ち直したって思ってくれているところを、聞きたかったのだけど。


一瀬さんは、澄ました顔でカウンター内の片づけを始めてしまった。



「何よ、あの言い草。まるで私が面倒かけてるみたいじゃない?」



雪さんは少し拗ねた表情を浮かべていたけれど、すぐに笑顔になってまた「ほらほら」とスツールを叩いた。