君と花を愛でながら

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どきどきしながら、面接当日私はカフェの扉を開いた。
一番奥の客席に促され、目の前にはやたら整った顔を持つ大人の男の人。


もしかして、何人も面接に来たりしてるのかな?
にこりともしないその人に、私は内心でびくびくしていた。


「ここまで迷いませんでしたか?」
「いえ! 駅から一本道だし、前に来たことありましたから……お客として」
「そうですか」


そう言うと、後は黙々と私の履歴書に目を通す。


―――ほんの一週間前くらいの話なんだけど
  やっぱり覚えてないよねお客の顔なんて。


余りにも素っ気なく感情の見えない店の責任者らしい人物。
私は歓迎されていないのだろうか、と不安になる。


有線から流れるクラシックの音楽と、明るい陽射し。
客として来るなら心地よいその空間に、目を閉じて現実逃避したくなった頃。


「……フラワーアレンジ?」


問いかけるような声がして、慌てて逃げかけていた思考回路を呼び戻す。初めて、興味を持ってもらえたような気がした。