「あ、えっと……そうですか?」
一応、見た目でも喜んでもらえるようにプレートとブーケはセットにしてお運びするようにしてるんだけど。
お客様側から言われたら、そのようにするのがやっぱり一番なんだろうな。
そう思いつつ、つい一瀬さんに確認するように視線を投げてしまう。
気付いてくれた一瀬さんは、小さく頷いた。
「わかりました。では先にデザートをお持ちしますね」
「このシフォンケーキでお願い」
「かしこまりました」
お辞儀をして、厨房の片山さんに伝える為カウンターの中に戻る。
その背中で、二人の会話が聞こえてきた。
「なあに、今のやりとり。陵、なんか偉そうじゃない?」
「……うるさい。責任者なんてこんなもんだろ」
初めて聞く一瀬さんの言葉遣いだった。
一瀬さんて、普段はあんな話し方するんだ。
敬語じゃなくて。
気になっていたアクリル板の中の世界は、思っていた以上に居心地の悪いものでかなりのダメージを受けてしまった。

