君と花を愛でながら

橙色だった空は少しずつ色味を変えて今は薄い藍色が広がり、その中にポツポツと明度の高い星から順に浮かび始める。


大通りもいつのまにか街灯が付き、夜の装いへと変わっていた。
駅に向かう人や、私達と同じ方向へ向かいながら、飲みに行こうと騒ぐ集団。殆どが、大学生やスーツを着た大人の人。


お姉ちゃんと悠君も、もし私が居なかったら。
ファミレスじゃなくて、ちょっとおしゃれなお店にお酒を飲みに行ったりするのかな。


「で、バイトはどんな感じなの? ちゃんとやっていけそう?」


少しの心配の色を隠しながら、私の表情を伺った。
私はにこりと笑って、返事をする。


「大丈夫、緊張はするけど二人とも良い人だと思う」


姉の心配は当然のことで、悠君が私を少し甘やかし気味なのにも実はちょっと理由がある。
大学受験を失敗した後、私は随分長い事ふさぎ込んでしまっていた。


落ちてすぐはそうでもなかったけれど、四月に入って友人皆が新生活をスタートさせた時、何の目標もない私は予備校に通うでもなく就職を探すでもなく、すっかり出遅れてしまったのだ。