「え……っと」
壁と片山さんに挟まれて、片手は繋がれたままで、逃げ場所がどこにもない。
顔に集まる熱を感じながら、俯いて視線を逃がしたのは今度は私の方だった。
空いた手が手持無沙汰に忙しなく、横髪を耳にかけて肩にかかった鞄の柄を握る。
「嫌?」
「嫌、っていうか。あの」
ふざけてるのか真剣なのか、いつも片山さんはころころと雰囲気を変えるから真に受けていいのかわからない。
ぎゅっと握ったままの鞄の柄を、何度も肩にかけ直した。
手を握られたままの片手が、汗ばんできているのを感じて恥ずかしい。
「……綾ちゃんから見て、やっぱり俺は軽そうに見えるんだ? だから嫌なの?」
そう言った声が少し寂しそうに聞こえて、慌てて視線を戻した。
「違います、そうじゃなくってっ!」
「じゃあいいよね、行こう?」
約束ね、と。
私の手を持ち上げて口許に寄せる。
「ひゃっ……」
指先に、あたたかくて柔らかいものが触れて私は慌てて手を引いた。

