「妹が元気になったら、通天閣に行きたいって思っていてね。ずっと通天閣に昇りたいって言っていたから…。」



「だから橋上さんは通天閣が好きなのですね。」



「それもあるかもしれない。元気だったらみんなともっと遊べるのにな…。」



そこまで話すと、ハッと、我に返ったように小さく声を出した。



「ゴメン、こんな話をして邪魔するつもりなかったのに。」



「いえいえ、そんな事ないです。」



「妹の病院はこの近くなんだ。今から戻らなきゃ。」



「早く治るといいですね。」



私は、精一杯の笑顔を見せた。



「ああ、ありがとう。」



橋上さんはすっと立ち上がり、私の絵を見て、最後に一言残して去って行った。



「あべのハルカスにも連れて行ってあげたいな…。」