虹が出た青空。 通天閣の手前に見える車椅子。 その姿は間違いなく智君だった。 「と、智君!」 2度目は出来る限り大声で叫んだ。 車椅子を器用に反転させてこちらを向く。 こちらを向く前に私はその傍まで近寄っていた。 「美紀ちゃ。」 呼び終える前に思い切り抱き締めた。 「智君…。」 「ち、ぐ。」 「あ。」 「ぐ、ぐるしいよ…。」 「ゴメン、ゴメン。」 つい力を入れ過ぎた。