『まさかの雨なんて。』
『お兄ちゃんの日頃の行いが悪いからでしょ。』
『俺のせいなのか?』
『ねぇ、美紀さん、絶対お兄ちゃんが原因ですよね?』
先程の微笑ましい2人のやり取りを見て気持ちが固まった。
長い間入院していた麻衣ちゃんと、看病していた新太郎さん。
そこには誰も入れない2人だけの思いがあるはず。
麻衣ちゃんが退院したらあべのハルカスに連れて行きたいという夢はあくまで新太郎さんの夢。
その夢を壊すような気がした。
「私は、新太郎さんと麻衣ちゃんの嬉しそうな顔を見れただけで十分。どうしても2人で昇って欲しいの。」
「美紀ちゃん…。」
新太郎さんは少し困った顔をしている。
「ホントに良いの。お願いだから2人だけで昇って来て。」
念押しするように私が言うと、2人は顔を見合わせて渋々納得した。
「それじゃあ、降りてくるまで待ってて。折角会えたからもっと話したいし。」
麻衣ちゃんのお願いには私も喜んで頷いた。

