『土方君か…』

土方は襖を最後まで開け、一歩中へ入ると、ゆっくり着座した

『時間だが、まだ局長や総司が来ていない
何か言いたいことはないか?』

土方は山南と目を合わせようとせず
顔を横に背けている

土方はいつもそうだ
山南と対峙する時はいつも…

山南はそんな土方を見て微笑む

『土方君、覚えていますか?
私が試衛館の門を叩いた日のことを…』

相変わらずの姿勢の土方は
頭を掻きながら答える

『ああ』

素っ気ない返答も変わっていない
この男は出会った時から本質は変わっていないのだ

『あれからまだ幾つも時は経っていません…ですが私達を取り巻く環境は大きく変わった…
そしてこれからも変わるでしょう』

『そんな話を今するのか?』

土方がようやく山南へ顔を向ける

『今だからこそ、です』

山南は微笑を崩さない