「若い女に流されて!
私達はどうするの!?
いつも嘘ついてその女の所にでもいってたんでしょう!?」
「金は入れてるんだからいいじゃないか
お前は使いたいだけ金を使って!
父さんとお袋の遺産と俺の給料が無い
普通の家なら破産してる!」
「子供も二人いるのに!!
よくも浮気なんてっ…」
……浮気…?
お父さんが……?
ガチャ、と音がして振り向くと、
お兄ちゃんが玄関にいた。
「っお帰りなさいお兄ちゃん!
遅かったね、部活忙しいの…」
「うるせぇな」
スポーツバックを肩にかけて
靴を脱いだお兄ちゃんはもう高校1年生。
すごく背も高くなった。
お兄ちゃんと一緒に玄関から歩く。
「…あれ、何」
冷たい目で、リビングのドアを見る。
「あ…あの、お父さんが」
「あぁ、浮気。
とうとうバレたんだ。
…ざまぁみろ……」
「っ!?
知って、たの……?」
「は…別に。
つか俺もう行くから。
どいて」
お兄ちゃんの前に立っていたのを
横にずれると
スタスタと階段を上がっていってしまった。
「そもそもお前俺の携帯勝手に見たんだよな!?
おかしいとは思わないか!?」
「なによ!浮気してるのを隠したかったからでしょう!?」
っ…
時計の針が10を指した。
流れるメロディはお母さんとお父さんの声にかき消されて、
私の耳には届かなかった。
くしゃ、と音がして、
手の中の紙が歪む。
赤で書かれた100が歪んで読みづらくなるのを
ただただ見下ろした。

