圭斗side



「じゃあ、
今からこの女の人が君の手当てをするからね。
それはいい?」


微笑んで、
聞いたことない程に優しい声で日和に問いかける春樹さん。



こくっと頷いた日和を見てから
椅子に座った春樹さんが絵里さんを振り向いた

アイコンタクトして頷いた絵里さんが一歩前に出る

「絵里です。宜しくね」


俯くように頷いた日和を連れて
絵里さんは隣の別室に歩いていった。



パタン、とドアのしまった音まで確認して

「……で?」

低い声で一文字発した春樹さんが
さっき絵里さんが立ってた場所より後ろにいた俺たちを首だけで振り向いた。



「「「「「っ……」」」」」


鋭い声に低い威嚇するような声。

春樹さんのその目と声は現役時代ですら
俺らに向けられたことはほとんど無くて
思わず息を呑んだ。



「全員が軽症重症含め怪我してる状況だし大体は察する。
飛鳥からの電話でも聞いたしな。」


そう言いながら椅子を回して俺らと向き合った。


「それを知った上で聞く。
……で?」










「っ…日和が風獣に連れ去られ、服を切り裂かれる以上のことをされました。
…どこまでかは分かっていません。
……風獣との全面戦争をし、日和を奪還。
風獣を壊滅させるには至らず
警察に通報はしましたが無駄なことになりそうです…………」



飛鳥が小さく一歩前に出るような動きをしたのを止めて、
簡潔に出来るだけ淡々と話し始めた涼。

その声には後悔が滲んでいて。