ガチャ


「日和は収まった?」


「飛鳥……」


「春樹さんに連絡してきた。
遅くなるけど来てくれるって。
まだ動揺してたりパニクるようなら
精神安定剤貰うか打ってもらうかしよう」


「さんきゅ飛鳥……」



何も知らずに場の空気を動かした飛鳥に
いろんな意味で本当に感謝した





脳裏にチラつくキスシーン
怯えさせるしかできなかった自分。
それと……


「日和…怯えてた」

圭斗が呟く。



「……あぁ」

「過呼吸だったから……」




見たことのなかった涙目。











「日和、どんな時でも涙とかそーいうの
絶対見せなかったのに」



「……あぁ」

「……っ」









「なんで俺
こんな時に何もできねーんだろ……!」

顔を覆ってしゃがみ込む圭斗。




その頭には白い包帯。

風獣にやられた怪我。
日和を連れ去られた時の怪我。





「っ……!」


ギリッと奥歯を噛み締める。