ハンカチを差し出した彼は


青と緑が綺麗なオッドアイで、


サラサラで漆黒の髪と


真っ白でキメの細かい肌が


異様にマッチしている。


少しつり目で切れ長の目と


筋の通った鼻と


薄い唇との相性もいい。


全体的にバランスが良く


思わず見とれてしまうほど、


世間一般的にはとてもかっこよかった。


「あの…これ、洗濯して返しますから!」

「そんなのいいのに。」


苳が思いきって声をかけると、


彼は目は合わせずふっと優しく笑った。


「君、名前は?」

「え?」

「僕は翠(すい)。君は?」

「…苳」

「フキ?」

「苳。」

「覚えとく」


翠は柔らかく笑うと、


花屋の軒下から出て行った。


もう雨は止んでいた。