願いの本

「猛くんだよ」「あぁ、県代表駄目になったんだよね」「長い間練習してたから」「捻挫でしょ?かわいそ」「でも、自業自得じゃね?」「確かにー」


辛かった、この教室にいることじたいが。

たまらず俺は荷物をおろさずに後ろに振り返った。

「おっはよー、猛」

圭吾がいた。

でも、俺は圭吾に返事をせずに横を走り去った。

「あ、あれ?猛?」

圭吾の声が聞こえる。

俺の逃げる姿を見て圭吾はどう思っただろう。

やはり俺は学校に来ない方がよかったかな?

圭吾は逃げた俺を臆病者だと嘲笑っているかもしれない。

圭吾に嫌われるのは嫌だな。

走りながらずっとそういう事ばかり考えていた。

気づいたら俺は屋上にたっていた。

普段はここは立ち入り禁止になっている。