願いの本

俺もそれでいいかもしれないと思った。

圭吾が帰るとき俺は圭吾の姿が見えなくなるまで見送った。

圭吾が来てくれて少しほっとしたのかもしれない。

その日はぐっすりと眠れて、つぎの日学校にも行った。

「おはよ」

俺はそう言ってクラスに入っていった。

だけど違った。

いつもだったらみんな「おはよう」ってかえしてくれていた。

だけど今日はみんなが一斉に静まって俺を見た。

俺はクラスの入口で固まった。

動けなかった。

しばらくしてから数人がこそこそ話し出した。

小さな声で聞こえないように話しているつもりかもしれない。

クラスの静まりかえった場所でははっきりと耳に入ってくる。