願いの本

「もう一個って何だよ、教えろよ」

俺がそう言うと圭吾は鼻を膨らまして言った。

「それはだなぁ……」

そこまでは自信満々に言っていたのだけれど突然静かになって言った。

「いや、あまりたいしたことではないのだけども」

言いづらそうに言った。

「そんなことわかってるよ、そうじゃなくかったらもっと早く言ってるだろ」

「ですよねぇ」

圭吾は少し寂しそうな顔で言った。

「で? 何なの?」

圭吾はまだ焦らし続けるのだろうか。

そう思っていると圭吾はあぐらを書いていたのを突然正座の変えて言った。

「なんかその『願いの本』ってやつさ、一人の女の子が持っているらしいんだって。しかもこの世に一冊しかないんだ。それで、本当に本を欲している奴の前に現れるんだって」