〈あつやside〉
 先生がプリントの整理を頼んできて帰るのが遅くなった。
今日、剣道の日なのにー! 

 俺が帰ろうとしている途中、見てしまった。             
━━━━おーいしと、りおが、、、キスしている所を。
自然に眉間に皺が寄った。

くそっ。なんでこんなに胸が痛ぇんだよ。
考えるのをやめようとしても、さっきの映像が何度も頭の中を反芻する。
「なんっ、、でっ、、、。」
俺の制服のズボンに丸い染みが点々と出来てゆく。
━━━━止まれとまれとまれ!
なんでこんなに涙が出るんだろう。
もう、諦めようと思ったバスなのに。
もう、手の届かない存在なのに。
まだ、俺はこんなにもりおの事が好きだ。

「ぅっ、、、くふっ、、、。」
俺は嗚咽を漏らしながら泣いた。