ケンムンの森

俺はすぐに荷造りをした。島へ出かける準備だ。はやく行かなければ。
「佳文?」
母の孝子が気付いて近付いてきた。
「何してるの?学校は?どこへ行くの。」

「俺、行かなきゃならないんだ。あと何日かしたら夏休みだし、大丈夫。心配しないで。単位は余裕だし。支障ない。」
孝子の顔が変わる
「バカ!お母さんは単位とかそんなことを言ってるわけじゃないの。あなたがどこへ行くのか聞いてるのよ。勝手に出て行ったりしないの!心配なのよ!」
「俺、前住んでた加計呂麻島に行かなきゃならないんだ。確かめたいことがあって。
あっそれに久々にどうなってるのか、あっくんやたけるやみなちゃん、ゆきちゃんはどうしてるかなって。」
少し誤魔化した。

孝子の顔が暗くなっていった。
「佳文、話があるの。こっちにきて座って。」
俺は怒られると思っていたが、母の予想外の態度に驚いた。リビングへ行き向かい合わせに座った。
何の話だろう。