ケンムンの森

ガバッ
「はぁ、はぁ。」
ベッドから飛び起きた朝の5時
あれは夢だったのだろうか。
いや、夢であって欲しい。
体中汗でびっしょり。シャワーを浴びて、TVをつける。
ニュースを見ると懐かしい奄美大島の特集であった。
俺が小学生の頃まで過ごしていた加計呂麻島だ。
懐かしい。なにかと不便だったが自然豊かだったな。
ニュースでは、森林がなくなり、崖崩れが起こり珊瑚が破壊されていると放送されていた。確かに、以前とは比べものにならないくらい変わり果てている。赤土が海へ流れている。
…?見覚えのある景色に見覚えのある物が目にとまった。
靴が、靴が落ちているのである。
その靴は、間違えるはずがない、浩の靴である。なぜ?あんなところに。
同じ靴は沢山あるだろうが。
しかし、俺は気になって仕方なかった。
あの場所は、俺達家族が昔住んでた家の近くだ。なぜ、靴が片方落ちているのだ。
それにあの夢、何か思い出せそうなのに思い出せない。
あの場所には浩の行方を知る手掛かりがある。なぜだか分からないがそう確信したのだった。