ケンムンの森

孝子は話始めた
「佳文は、ずっとゆきちゃんを探したわ。
泣きながらゆきちゃん、ゆきちゃんって。でもとうとう見つからなかったのよ。
それからあなたは高熱を出しちゃって寝込んで、島の外の病院で入院。退院と同時に引越ししたのよ。
退院してからは、その話が出なくて加計呂麻島の話も全くしなくなったの。」

…覚えていない。島にいた記憶が少ししかないなんて。

さらに
「悲しい記憶は忘れたままの方が良かったのかなと思っていたから。。そういえばあの時集団で消えちゃったから神隠しだって島中大騒ぎだったわね。
ケンムンの仕業だって。」
と言って少し笑った。
「ケンムン?」
俺は聞き返した。
「あっケンムンというのはね、昔から言い伝えられている島の妖怪でね、島の森を守っているのよ。見た事ないけどね。」
と言って目を大きくしてこっちを見た。
「ちっちゃくて赤土色した体。こんな風に目がまんまる大きくて悪戯っ子な可愛らしい妖怪よ。」
!?背筋が凍った。
その妖怪。。
可愛らしいなんてもんじゃねーよ!
俺の夢に出てきた化け物まんまじゃないか!
孝子は話を続ける
「それとね、浩君も行方不明になったし、佳文が心配で、お母さんなんだか神隠しにあうなんてあの島が怖くて…だから、行かないで。それにね、ゆきちゃんはね…
あっよしふみ!!」