「莉緒? どうした、そんなとこに突っ立って」
「あ、い、いえ……」
自分の鞄を持つ。
鞄の中にある、まだ渡せていないチョコレート。
「っと、そーだ。莉緒、ほい」
「え……」
孝先輩はポケットの中から私がいつも飲んでいるココアを取り出した。
「もっと早く戻ってくるかと思ってたからさ。温かいもの用意しといた方がいいと思って。ちょっと冷めちまったけどなっ」
そう苦笑いをして、私の手のひらにココアを置く。
たしかに、ココアは少しだけぬるくなっていて。
でも……私の顔に、熱が溜まる。
ああ、好き。
この、温かい優しさが。
この……青空みたいな、笑顔が。
「莉緒?」
「……き」
「え……?」
自然と、私の口から零れた。
「好き……」
私の中に広がっていた、青色の想いが、溢れ出した。

